私も、ヘルプデスクを辞めたいと考え、転職しています。
この記事は、ヘルプデスクを辞めたいと考えている方に向けて、私の経験談を元に書きました。
「ストレス」、「将来性」、「転職」の3つのテーマになっています。
仕事に悩んで辛いとき、考えの選択肢を広げると、少しは気持ちが楽になると思います。
もしかしたら、悩みを楽にするヒントがあるかも知れません。
ぜひ、楽な気持ちで、読み進めてみてください。
<この記事の信頼性(私のプロフィール)>
・30代の男性です。
・約7年間、情報システムのヘルプデスク業務を経験しています。
・年間、約3,000件、お客さまからの問い合わせに対応してきました。
・100人を超えるヘルプデスク担当者との繋がりを持ちました。
・主任、マネージャーを経験し、部下の育成も行っています。
ヘルプデスクをやって辞めたいと感じたこと
この章では、ヘルプデスクの仕事で、不満に感じたことを書いていきます。
ストレスが溜まりやすい
ヘルプデスクは、かなりストレスが溜まりやすい仕事です。
いくつか理由があります。
<ヘルプデスクはストレスの宝庫>
・ヘルプデスクは、クレーム対応が避けて通れない
・悪質なクレーマーに遭遇したら、メンタルを病む
・基本的に電話・メール対応。お客さんの顔が見えない
・ヘルプデスクは少人数制、かつ屋内作業。職場の雰囲気が悪ければ逃げ場がない。
ある女性の話。
私が、別の施設のヘルプデスクに伺った時の話です。
その女性は、お客さんからのクレームと、職場の嫌がらせが重なっていました。
そして、別の部屋にいた私のところに飛び込んできました。
涙を浮かべながら。業務中に。
仕事のストレスで、辞めたい感情に最も影響を与えると思うのが、
職場の人間関係
です。
ヘルプデスクはチームで課題を解決していく仕事です。
メンバー同士のやり取りを避けて通れません。
そのメンバー同士の関係が悪ければ、当然、働きたいとは思わないでしょう。
上司がそのことを理解していれば、チーム内の雰囲気を最重視するはずです。
ですが、理解していない上司がいるのも、事実です。
毎日、同じことの繰り返し
ヘルプデスク3年目、1日のスケジュールです。
<1日のスケジュール>
9:00~12:00
・お客さんからの問い合わせ(電話、メール)
・問い合わせ内容の調査・報告
13:00~18:00
・お客さんからの問い合わせ(電話、メール)
・問い合わせ内容の調査・報告
ミーティングや客先対応はあります。
マネージャーになれば、業務は増えます。
ですが、基本的にこの業務を、ひたすら繰り返すことになります。
はじめの頃は、分からない課題を解決することによって、成長を感じられます。
ですが、だんだんと慣れていき、解決することが簡単になってきます。
他のお客さんから、似たような問い合わせに対応することも増えてきます。
チャレンジ精神が旺盛な人ほど、ヘルプデスクの業務は、徐々に飽きてきます。
入社3年目。
新しいことにチャレンジしたい気持ちが抑えきれずに、上司に直訴したことがありました。
「もっと新しいことにチャレンジしたいです。」
「例えば、ここのお客さんを担当させてください。私なら、こういうサポートが出来ます!」
上司は受け入れてくれました。
なんと翌日から、私は、あるサービスの責任者になりました。
いま考えれば若気の至りであったと反省していますが、上司に感謝しています。
行き過ぎた例ですが、このようなことをしないと、なかなかチャレンジする環境は巡ってきません。
なかなか年収が上がらない
組織の運営には、予算があります。
ヘルプデスク(人件費)にどれくらいの予算を割くかは、年度単位で決まっています。
参考までに、ヘルプデスクをしていた頃の、私の年収です。
<年収の推移>
・1年目~3年目、約350万円(役職なし)
・4年目以降、約450万円(役職:マネージャー)
ヘルプデスクは、実力主義ではなく、年功序列の風潮が強いです。
年収を上げる為には、昇進する必要がありますが、空いているポディションは限られています。
私が、これより年収を上げる為には、部長を目指す必要がありました。
当時、50代の方が部長を務めていましたので、「あと30年はこの年収か・・」と希望がなくなってしまいました。
組織の制度にもよりますが、ヘルプデスクは、なかなか年収が上がりにくい仕事だと思います。
「ハーツバーグの2要因理論」の理論通りの仕事
<ハーツバーグの2要因理論>
・アメリカの臨床心理学者、ハーツバーグ氏が提唱
・仕事に満足感を感じる要因と、不満を感じる要因の二つに分けて分析
この理論によれば、仕事に不満を感じる要因は、次のことが影響するとされています。
<仕事に不満を感じる要因>
・人間関係
・成長
・給与
ヘルプデスクの経験と照らし合わせても、重なるところがありました。
ヘルプデスクの将来性【良いこともたくさんあります】
『「できること」が増えるより、「楽しめること」が増えるのが、いい人生』
日本の精神科医、斎藤茂太さんの言葉です。
仕事でも、プライベートでも、楽しむことが一番です。
仕事の将来性を考える時に、最も大切にすべきことは、
「自分が楽しいか」
です。
周りの基準ではなく、自分自身が楽しいかどうかで、仕事の将来性を判断すべきです。
私は、ヘルプデスクを通して、楽しめたことがたくさんありました。
この章では、そんな「ヘルプデスクをやって良かった」と感じたことを書いていきます。
ぜひご自身と重ね合わせてみて、
「自分だったら、その状況が楽しいと感じるか?」
を判断する材料としてもらえたらうれしいです。
将来性はある
ヘルプデスクは、将来性があります。
<将来性がある理由>
・製品やサービスは無くならない。(需要はあり続ける)
・需要があるので、急なリストラのリスクが低い
・どのようなサービスであれ、ヘルプデスクは必要
・AIが浸透しても、人間によるサポートは必須
・ヘルプデスクを必要とする職業は多岐に渡る。転職しやすい。
ですが、大事なので繰り返します。
将来性は、あくまでご自身の気持ちを最優先してください。
やりがいよりもストレスを感じるのであれば、「自分にとっては将来性はない」と考えることです。
お客さんと仲良くなれる
ヘルプデスクを辞めても、ときおり思い出すのは、お客さんの笑顔です。
ヘルプデスクは、特定のお客さんと長く付き合っていきます。
何度も顔を合わせるうちに、プライベートの付き合いに発展することがあります。
「この後、ひま?飲みにいこうよ。」
初めてお客さんから誘って頂いたときの言葉です。
お相手の方は、50代の施設の責任者の方。
当時、私は20代後半。
うれしい反面、「正直、何を話せばいいんだ!」とドキドキしたことを、昨日のことのように思い出します。
その後も、色々な方と交流を深める機会があり、楽しい思い出を作ることが出来ました。
ヘルプデスクを長く続けていると、仲良くなるお客さんが、きっと現れるはずです。
マネージャーになって、感じたこと
ヘルプデスクのマネージャーになると、さまざまな業務を担当するようになります。
<マネージャーの業務>
・メンバーへの指示だし
・今後のサポート方針の決定
・部下の育成
・クレームへの謝罪
・大規模障害など、緊急時の現場対応
マネージャーになると、担当する業務が変わります。
スポーツで言えば、プレーヤーから監督の立場になるようなものです。
責任は重くなりますが、より大きな視点で課題と向き合うようになります。
そのため、ビジネスマンとしての視野が広がります。
ですが、一番の幸せに感じたことは、
「お客さんからの感謝の言葉」
でした。
マネージャーになる前と、何も変わりませんでした。
マネージャーになっても、お客さんと関わり続けるヘルプデスクです。
ずっと、幸せを感じ続けられる仕事だと思います。
ワークバランスは大丈夫!
働き方改革など、ワークバランスが重視される社会になりました。
ヘルプデスクは「ワークバランス」を保てます。
理由は次の通りです。
<ヘルプデスクは、ワークバランスに最適!>
・ヘルプデスクは、お客さんの営業時間に合わせて対応する仕事
・お客さんの営業時間以外からは、問い合わせはありません。
・仕事に慣れれば、ほとんど残業することが無くなります。
・休日出勤があったとしても、代休が取得できます。
・責任者でなければ、急な呼出や夜務はありません。
まさに、「ない、ない」尽くし。
自分の生活リズムを保ちやすく、仕事とプライベートを両立させやすいです。
働いている時は、考えもしなかったことなのですが、
「自分のペースで仕事が出来る」
そのような環境は、とても恵まれていて、幸せなことだったと思います。
ヘルプデスクを辞め、営業へ転職した
ヘルプデスク7年目のある日、営業への転職を決意しました。
当時、30代前半。営業未経験。
正直、未経験で雇ってくれるのかなと、不安でしかたありませんでした。
ですが、結論から言うと、全くの杞憂で、就職先はすぐに決まりました。
この章では、転職を決意した理由と、実際に転職するまでに行動したことを書いていきます。
なぜ、転職を決意したのか?
気づけば、ヘルプデスクに携わり、7年が過ぎていました。
業務にも慣れ、責任のあるポディションを任せられるようになりました。
仕事が楽しいと感じていた時期でもあります。
そんな時、ある企業の社長さんとお話しする機会があり、こんなことを問いかけられました。
「この会社で何を実現したい?」
私は、ヘルプデスクの責任者として、こう答えました。
「はい、年内にお客さんからの課題を7割ほど解決し、満足度を上げていきたいです。」
そしたら、一言。
「いや、それはヘルプデスクの目標であって、君が会社で何を実現したいかとは別なんじゃない?もっと大きな目標というかさ。今後の人生においての、ビジョンを聞かせてよ。」
「・・・・」
何も答えられませんでした。
真剣に考えた結果、ヘルプデスクでやりたいことはやり切ったとの結論にいたりました。
そして、やってみたいことにチャレンジしようと、転職を決意。
上司に告げました。
「会社辞めます、転職します」と。
経験は貴重な財産
ヘルプデスクの経験は、他の職業でも活かせます。
さまざまな経験の中で、最も活かせるのは、「お客さまの課題を解決した経験」です。
以下は、私の実績になります。
<ヘルプデスクの、圧倒的な課題解決経験>
・毎日10件以上、お客さまからの問い合わせに対応
・課題解決件数は、月間200件、年間3,000件に上る
・中国人、ミャンマー人とのコミュニケーションが必要だった
・怒り心頭のクレームに対応
・緊急に対応が必要な大規模障害に対応
ヘルプデスクを経験されている方であれば、また違った経験をたくさんしていると思います。
課題の大小はありますが、これだけ大量の課題に向き合う職業は、ヘルプデスクだけです。
「量は質に転化する」
ことわざにもあるように、課題解決能力は知らずの内に身についていきます。
どのような職業であれ、お客さんの課題を解決する能力は求められます。
未経験の分野であるにせよ、ヘルプデスクで培った経験は、他の企業でも活かせます。
転職してから後悔したこと
賛否両論あると思いますが、私は退職してから、転職活動を始めました。
在籍しながら、他の企業の面接を受ける気持ちにならなかったからです。
今思うと危ない賭けでしたが、大丈夫でした。
転職先はすぐに決まりました。
<転職するまでの流れ>
・5月末に退職
・翌月(6月)の1カ月間、やりたいことをじっくり考える
・7月中旬(18日)から転職活動を開始
・1社のみ。1回の面接で内定がでる
・8月上旬から勤務開始
ですが、一つだけ、後悔していることがあります。
それは、転職先を決める際に、転職サイトを使わなかったことです。
じゃあ、どのようにしたのか?
私は、次の手順で、企業を決めました。
<転職先を決めたプロセス>
職業を決める
業界を決める
関わりたいサービス、製品を決める
条件に該当する企業から、数社に絞る
企業のサイトで募集要項を確認して、応募する。
面接を受けたのは、1社のみ。
年俸は450万円(月収30万円)で契約。
未経験の職業だったこともあり、この結果には満足しました。
なぜ、後悔しているのかというと、その会社がいわゆる「ブラック企業だった」ことです。
具体的には、次のような会社でした。
・有給なし
・社内で怒号が飛び交う
・2年間の内に、その間に入社した中途社員がすべてやめる
・頭痛がひどくなり、初めて、心療内科を受診する
ここでは書けない状況下で働くことになりました。
これから転職を考えている方は、このような企業には巡り合って欲しくないと思います。
そのためにも、ぜひ転職サイトを使って、企業の評判などを確認しておくと良いです。
最後に。
安心して欲しいのですが、私はこの企業で、年間のトップセールスを記録。
その後、ホワイト企業へ転職しています!
まとめ
この記事では、私の経験談をご紹介しました。
想うことがあります。
ヘルプデスクは、辛いことがたくさんある。
だけど、ヘルプデスクには、他の職業では味わえない、良いところがたくさんあった。
この相反する事実を伝え、みなさんの役に立てればとの想いで、この記事を書きました。
ヘルプデスクは、すばらしい職業ですし、かけがえのない経験として残ります。
転職を選ぶにせよ、ぜひ、ヘルプデスクの経験を大切にし、今後の人生に役立ててください。